【女たちの水辺の労働】 「・・・今まで取り上げてきた歌の背景にあったと思われる労働を、『万葉集』自身のなかから拾い出してみました。・・・歌から得られる情報だけでも、さまざまな麻に関わる労働があったことがわかる、と思います。 蒔(ま)く……種まきの労働。俗に『麻百日』といわれるほど成長が早い。 育てる……下草刈り、庭での栽培や刈干しの労働もある。 引く……夏に麻を引き抜き、紡ぐ労働。 刈干し……引き抜き、運搬する労働。 麻打ち……繊維を叩きほぐし、『麻苧(あさを)』を取り出すために打つ労働。『麻苧』は紡ぐ前の麻の繊維のこと。 曝す・干す……繊維の質を高める労働。この作業で麻は白くなってゆく。 紡…