上岡龍太郎が「自分は20世紀までしか通用しない」といっていたのは正しかったといえる。 上岡はウソの蘊蓄ばかり言っていた。それを下敷きにジョークをいって、ウソと気付かぬ聴衆を「へぇー」と納得させつつ笑いをとっていた。しかしその下敷きにした部分は、やはりどこか「ほんまかいな」と思わせるあやしさがあった。そのあやしさと、懐疑を押し流す滑らかな弁舌に、上岡の芸風があった。そして、あやしさについては、20世紀ゆえに可能だった、といえる。21世紀になり、インターネットやスマホが発達して、なんでもかんでもその場ですぐに調べられるようになった。もし上岡が現役で、変わらぬ手法で笑いを取ろうとすれば、すぐに「それ…