実験室から居室に戻る途中の木犀の木の葉に、セミの抜け殻を見付けた。先日の朝の豪雨の後の物だと思う。もう夏は終わり、秋になったというのに、随分とのんびり屋のセミだ。 見付けたのは地上140cmぐらいの高さだった。土の中から幹をのこのこ登って、そこから枝へそして葉への移動、その行程は200cm以上はあるだろう。長い間土の中でほとんど動かずにいるのに、いざ羽化となればよくもそこまで動くものだ。 以前も書いたが、私はセミが嫌いだ。セミの抜け殻を見ても何とも思わない。だが古来よりそれを見てもののあわれを想うのは貴族さまたちのお約束事だったようだ。はいはいそうですか、私はあいにくそのような繊細な感覚は持ち…