東日本大震災から10年の歳月が流れます。 毎年3.11が近づくと、思い出したように、メディアがこぞって被災地の復興の様子を取り上げます。 今回10年を迎えるにあたって気になるのは、あの震災が徐々に記憶から忘れ去られようとしているのではないか、という被災者の危機感や焦燥感が目立つことです。 NPO法人福島ダイアログ理事長の安東量子さんは、福島県いわき市で田舎暮らしを楽しんできましたが、福島第一原発事故で生活は一変しました。 安東さんは2019年に福島第一原発事故から8年の日々を描いた『海を撃つ』を出版、話題になりました。 彼女の問題意識の根底にあるのは、福島の人たちが直面してきた出来事や葛藤を“…