光源氏18歳3月から冬10月の話。 瘧(おこり、マラリア)を病んで加持(かじ)のために北山を訪れた源氏は、 通りかかった家で密かに恋焦がれる藤壺(23歳)の面影を持つ少女 (後の紫の上。10歳ほど)を垣間見た。 少女の大伯父の僧都によると彼女は藤壺の兄兵部卿宮の娘で、 父の正妻による圧力を気に病んだ母が早くに亡くなった後、 祖母の北山の尼君(40歳ほど)の元で育てられ10余年たったという。 源氏は少女の後見を申し出たが、 結婚相手とするにはあまりに少女が幼いため、尼君は本気にしなかった。 4月、病で藤壺(23歳)が里下がりし、 源氏は藤壺の侍女王命婦の手引きで再会を果たした。 その後藤壺は源氏…