第28話 結びの伝説 2日目④ わたしは或嘘つきを知っていた。彼女は誰よりも幸福だった。が、余りに嘘の巧みだった為にほんとうのことを話している時さえ嘘をついているとしか思われなかった。それだけは確かに誰の目にも彼女の悲劇に違いなかった。 芥川龍之介『侏儒の言葉』 「中野一花」というキャラクターのわからなさ 五つ子姉妹である中野一花、二乃、三玖、四葉、五月と、彼らの家庭教師である上杉風太郎の恋愛模様を描いた『五等分の花嫁』。正月休みに会った友人たちに勧められて読みはじめ、つい先日読了しました。いまさらすぎる。 ラブコメなので恋愛感情に焦点が当てられているものの、登場人物それぞれの人間性の変化や成…