《戦前の日本では、きわめて大ざっぱにいえばこういうタコツポ化した組織体の間をつないで国民的意識の統一を確保していたものが天皇制であり、とくに義務教育や軍隊教育を通じて注入された「臣民」意識でした》(丸山真男「思想のあり方について」:『日本の思想』(岩波新書)、p. 145) 戦前の日本の組織が近代化に伴って<タコツボ化>したというのは、どのような事象や事例を踏まえた話なのだろうか。それは、丸山氏が日本を叩くために設(しつら)えた、ただの「虚構」ではないのか。 丸山氏の言う<天皇制>とは、帝国憲法によって規定された、天皇を頂点とする政治体制というような意味なのだろう。が、天皇が国民意識を統一して…