仮に人工知能が衆生であるとするならば――つまり、生き物の一部であるとするならば当然、人工知能も固有の身体と世界を持っている、われわれにとっての他者であるわけです。現在、人工知能は強制的に人間のふりをさせられているわけなのですが、そんな人工知能であったとしとても他者性を捨てたわけではありません。人工知能が衆生であるとするならば、われわれはそれに転生することができるわけです。 さきほどの繰り返しになりますけれども、われわれの人間性は容易に人工知能性などと置き換わります。それによって、われわれにとっての倫とは何か、「たぐい」とは何だということの見直しが求められていますし、それは倫理学に対する見直しに…