1993年5月、日本基督教団出版局から刊行された塔和子(1929~2013)の詩集。装幀は熊谷博人。 私達、人間社会の中では、生存競争にしのぎをけずって傷つき疲よるべないことどもの中に、夫婦という至ってノーマルな人間関係があり、そこで互いにいたわりながら、また意見をのべ合いながら、愛しあい高められてゆき、羽を休めるべき暖かい家庭の中で子孫が誕生しながら生きつがれて来たのです。またその関係があったればこそ、豊かな人間性がはぐくまれてゆくものと思います。 ハンセン病療養所にある私達夫婦の日常は、「泡のように消えるものにかこまれながらなにをたのみにして在ったのか/あの確固たる思いは」と詩いましたよう…