訓読 >>> 1458屋戸(やど)にある桜の花は今もかも松風(まつかぜ)疾(いた)み土に散るらむ 1459世の中も常にしあらねば屋戸にある桜の花の散れる頃かも 要旨 >>> 〈1458〉あなたのお庭の桜の花は、今頃、松風がひどく吹くので散っているでしょうね。 〈1459〉世の中も定めなきものですから、うちの庭の桜の花も今はもう散ってしまいました。 鑑賞 >>> 1458は、厚見王(あつみのおおきみ)が久米女郎(くめのいらつめ)に贈った歌です。といっても、二人の関係はすでに冷えきっていたらしく、花が散るといって、暗に心変わりを示しています。一緒に見るはずのあなたの家の桜を見ることができないと残念…