ねじまき鳥、再再再読、了。 何度でも考える。その考えを何度書いてみてもそれは断片を一つ仮定した形のメモ貼りに過ぎない。無限なのだ。世界が閉ざされていないように、物語はその不完全性を綻びとして内包してこそ全体性を志向する完全性を孕む、という逆説を持っている。読者の数だけ、読書の現場の数だけ。そこから広がる無限の可能性のための。 テクストを媒介にしてすべての読者の個がぶつかり合い、化合して融合して新しく世界は広がりを見せてゆく。その無限の中の物語現実はどれもが「真実」と呼んでもよいものだ。 読書の、物語のすごいところは、何度読んでも、読むたびにその時々新しく、作品世界と己と時代との深みと意味を発見…