文字霊日記・3264日目 しずや、しず・・・絵と光と影 健とユカリは北海道に一旦、戻ることにした。この宮城県で得たものは多かった。だが、歴史の真実は依然として霧の中だ。推理と類推の仮説でしかない。まるで霧笛だけが聞こえ、焦りと危機感が迫って来るが、その本体は見えてはこない。 青函トンネルが出来たおかげで北海道と本州の交通路は飛躍的に便利になった。ほんの少し前は青函連絡船で行き来しなければならなかったのだ。便利さは旅の情緒を失うが、現代人にはそれを味合う必要性のない時間帯で生かされているのかも知れない。健とユカリは電車に乗りながらそのスピ-ドに身を任せて北海道にむかった。健は朝刊に眼を走らせ、ユ…