コロー『ラ・フェルテ・ミロンの風景』(大原美術館蔵) 西洋絵画に興味を抱き始めたころから、コローの画がどことなく好きだった。最近になって理由に思い当った。 ごく鈍感な高校生だったから、ゴッホとピカソを凄いと思っていた。好きなのはユトリロだった。デ・キリコもジャクソン・ポロックも知らなかった。 文学にもっとも熱心だった三十代後半は、ロートレックと松本竣介のファンだった。孤独だの孤立だのという問題を、自分なりに考えていたのだろう。そろそろ坂本繁二郎とも熊谷守一とも出逢っていたころだ。 それらの時代にも一貫して、コローの画には気持好い感じを抱いていた。 コローの描く農場風景も田園風景も雑木林風景も、…