京都のとある日の夜、一人、さて何を晩飯に食べようかと、場末のホテルまでのあいだ二条通あたりを西へと歩きながら思案して歩いた。少し前に車が一瞬途絶えたカーヴのところで二人の女性が手をつないで速足で道を渡って行った。一人はコートの緑色がきれい。 もう少しくすんでいるが、私もこんな感じの緑のコートを持っている。真冬ほどには寒くない、だけどちょっと一枚薄いコートを羽織っていたい。そんなときに着る緑のコート。もう五年前に買ったコートだ。だけどそういう「季節の変わり目」に着るコートを実際に着る日々は短いものだ。とくに今年のように11月になっても夏のような日がやって来るような陽気だと、なかなか着る機会がない…