木村敏. 時間と自己. 中央公論社, 1982, 193p., (中公新書674). ◯要約 第一部 こととしての時間 (pp3-62) 1 もの(引用者注:原文﹅﹅)への問いからこと(原文﹅﹅)への問いへ (pp4-31) われわれは、ものに囲まれて生きている。われわれの肉体も、自己も同一性も、それを見るかぎりにおいて、客観的・対照的なものとしてわれわれの前に現れる。一方で、客観的に見ることをやめた場合、「こと」として世界は現れる。私がここにいるということ、自分であること、というように。日本語では、元々は事(こと)と言(こと)との区別はなかった。奈良・平安時代以後に次第に分化し、「言」は「コ…