徹夜の塊1 亡命文学論 増補改訂版 (徹夜の塊 1) 作者:沼野充義 作品社 Amazon 『亡命文学論 増補改訂版』沼野充義著を読む。 「亡命」というと亡命ロシア人がまっ先に浮かぶが。 「大量のロシア人亡命者の体験を通じて描き出された亡命文学の風景は、二十世紀のロシア文学が世界にもたらした貢献の一つとして挙げられよう」 まずは、ナボコフ。 「亡命者の体験(特に言語に関わる体験)は個人差が大きく、一概には論じられない。バイリンガル作家として有名なナボコフの場合―略―ロシア語から英語に執筆を切り替えたのは亡命という環境によるところが大きいが、―略―彼のバイリンガル性は亡命後に獲得されたものでは決…