中学生の頃だったと思う。父親が映画に誘ってきた。「リーダーが悪ければ組織は全滅する」とかなんとか気負って言ったあと、お前もこういう映画を観ておくといい、という。高倉健主演の「八甲田山」だった。当時、この映画でリーダー論や組織論を語るビジネスマンが多かったのだろう。高度成長期の猛烈サラリーマンで、若くして管理職をやっていた父親が、話題作をぜひ観ておきたいと思ったようだ。 映画はものすごく面白かった。綿密に準備をし、人選にも配慮し、村人に道案内を頼むことも厭わず、協力してくれた村人にも敬意を表し、誠実で実直なリーダーを高倉健が演じていた。対比されるのは部隊をほぼ全滅させた北大路欣也だが、これは同行…