介護のニーズが高まる中で、理想の介護職像を語られることがしばしばあります。利用者のことを大事にして、テキパキと仕事をしながらも周囲に目配りをし、笑顔を絶やさず何事にも柔軟に対応するといったイメージを、私もよく耳にします。ところが、実際の介護職は、理想通りに働くことは困難です。 介護施設や病院の経営陣は、「利用者に愛情と真心をもって接する」というような理念を掲げます。そのため、利用者やその家族は、「淋しそうにしているから話しかけてほしい」「散歩に連れて行ってほしい」「もっと運動をさせてほしい」など、さまざまな要求をすることがあります。しかし、介護職にとっては、予定している業務をこなすのも精一杯で…