伊藤博文 近代日本を創った男 (講談社学術文庫) 作者:伊藤之雄 講談社 Amazon 明治20年(1887年)4月20日午後9時、鹿鳴館時代のクライマックスとして歴史に刻まれた仮装舞踏会が幕を開けた。時事新報は「内外朝野の貴顕紳士及び其夫人等の参集はほとんど四百余名近き多人数なりし」と報じた。浅田真央のスケートで耳に残るハチャトリアンの「仮面舞踏会」のワルツがよみがえり、華やかなときめきに満ちたであろう舞踏会のにぎわいが目に浮かぶ。 記事は続けて「紅顔玉を欺くの淑女顕はるるかと見れば、忽ちにして勇壮鬼を挫く猛獣躍り出で」と記す。その場面を「ウィーンに六段の調 戸田極子とブラームス」(萩谷由喜…