吉村昭『仮釈放』 今日は読書の話題です。最近読んだ本2冊について。 1冊目は吉村昭の『仮釈放』。吉村昭の本を手に取ったのは、去年から今年にかけて読んだ2冊の短編のアンソロジーで、どちらも吉村昭の作品(『少女架刑』と『少年の夏』)がいちばん気に入った作品だったので、一度長編を読んでみたいと思っていたからだった。歴史小説やノンフィクション小説に定評がある作家だが、『仮釈放』は少し毛色の違う作品だ。 高校教師であった主人公の菊谷は、浮気をした妻を刺殺、相手の男を刺傷し、男の家に火をつけその母親を焼殺するという罪を犯し、無期刑の判決を受けたが、16年後に仮釈放となる。この小説の発表が昭和63年だが、小…