「あそこの場所よかったのに、ホームが今度建つんだって」 近所のおじさんが教えてくれた。 あそこの場所、とは、小学校への通学路の一角。林のように木が生い茂り、たくさんの鳥が集まりさえずり、虫たちが集い、自然の香りと日陰を与えてくれていた場所。脇を通るとなんだかほっとし、自然の音を提供してくれて、私は無意識に歩く際の目印ならぬ耳印にしていた場所でもあった。 今朝、朝日浴ウォーキングの際に通学路を通ると、既に工事用の白い幕で覆われていた。雰囲気が変わった。音がない。鳥たちのさえずる声や少しの風でも葉っぱ同士がこすれ合う音がしない。匂いも変わった。木や葉っぱの香りがしない。 私の現在住んでいる場所は、…