1954年(昭29)東京文芸社刊。1949年に発足した捕物作家クラブの中心にいた野村胡堂、土師清二、城昌幸、佐々木杜太郎、陣出達朗の5人によるリレー形式の合作になる。合作による「伝七」物は新聞や雑誌への連載でしばらく続いたが、1953年から足かけ10年にかけて松竹と東映で13作の映画化が行われた。主演はすべて高田浩吉。その半数以上の原作が合作であり、今でも読むことができる。 「人肌千両」は映画化第1作で、上映に合わせて単行本として出版された。語尾を「です、ます体」で統一し、野村~陣出~佐々木~城~土師の順で執筆された。江戸を騒がす怪盗団「疾風」(はやて)に狙われ、脅迫状で千両箱を用意するように…