甲は,生活費に窮して金品を奪取しようと考え,A 宅に侵入して物色中,A に発見されて大 声を出されたため,所携のナイフで切りつけて傷害を与え,更にその際,傍らに寝ていた幼児(二 歳)の足を踏みつけて傷害を与えたが,近所の人達が駆けつけたため,そのまま逃走した。甲の刑 事責任(但し,特別法違反は除く)について論ぜよ。 一まず,甲が A 宅に入ったのは,金品を奪取する目的であったというのであるから,甲は不法な意図の もとに A 宅に入ったものということができる,従って,甲が A 宅に入ったことについて,正当な事由が あるということはできず,甲は,故なく人の住居に侵入したわけであるから,甲には住居侵…