SMプレイにはまる人がなぜ一定数いるのか、私には長らく疑問だった。 わざわざ縛られて、痛い思いをして、何が嬉しいのだろうか……と。 そこで、恋人に試してもらったことがある。 といっても、目隠しをして、手首足首を柔らかなリボンで結わいてもらうだけの、真似事に過ぎなかったのだが。 それでも、目と手足の自由を奪われたとたん、身体感覚はぐらつき、気持ちも不穏になってきた。 彼の手が、いつ、どこから伸びてくるか分からない不安定な時空間の中で、私は、全細胞にアンテナを立てるようにして、様子をうかがっていた。 ほんの短い間に、私は自然と急速に、五感を研ぎ澄ませていたようだった。 その証拠に、彼の指先や唇を、…