紅手袋:保篠龍緒 1927年(昭2)1月~12月、雑誌「講談倶楽部」連載。 1929年(昭4)改造社、日本探偵小説全集第8巻「保篠龍緒集」所収。 作者の保篠龍緒(ほしの・たつお, 1892~1968) は20代後半から「怪盗ルパン」の翻訳を開始し、原作者モーリス・ルブランとの翻訳権を獲得し、ほぼ独占的に日本への紹介に貢献した。数多くの版元からの「ルパン全集」も出している。彼自作の探偵小説は、表題の外、昭和初期の「日本探偵小説全集」の一巻として刊行されたものをはじめ少なくはなかったが、その後の「ルパン」の名声に隠れてほとんど注目されてこなかった。 今回まともに読み通すことができたが、明治末期の探…