イタリア生まれのオペラ作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニ(1792~1868)は、37歳で引退した。この後の人生を、ロッシーニは何をして送ったのだろう。それは「食」である。ロッシーニは若くしての引退だが、定年後にスペインのバルセロナで豆腐屋を始めた元新聞記者がいる。豆腐という「食」へのこだわりが、動機だ。彼が書いた本『バルセロナで豆腐屋になった ——定年後の『一身二生』奮闘記』(岩波新書)を読んだ。(バルセロナ市内の風景)