信州は墨坂ってところに、中村ナニガシって医者がおった。気まぐれの面白半分でね、今まさにつるんでるさなかっていう二匹の蛇をね、叩き殺しちまった。 その晩のこった。その医者のあそこがね、つまりそのゥなにだ、大事なイチモツがよ、ズキズキ痛み出しちまった。どうしちまったんだろうと思ってるうちに、見るみる腐れてきてね、しまいにポロンと落ちちまってさ、そのまんま呆気なく死んじまった。 その子が跡を継いだ。三哲と云われたくらいだから、賢い男だったんだろうがねぇ。しかも並なみでない太くたくましい松茸のようなもんを、もった男だったそうだ。 前途には期待と妄想一杯。妻女を迎えてね、いざ夫婦の始まりってんで、意気込…