切なく、優しい群青劇。映画『ぼくまほ』から学ぶ“本当の幸せ”の意味 「もしも魔法が使えたら」きっと誰もが一度くらいは考えたことがあるだろう。けれど、たいていの欲しいモノが手に入るこの時代、自分の心の奥底にしまった“本当に叶えたい願い”に辿り着くことこそが、なによりも難しいのではないだろうか。 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(以下『ぼくまほ』)は、緑豊かな自然に囲まれた小さな村を舞台に、人生の選択を迫られた若者4人の物語だ。2019年の初演以来、何度も再演されてきた朗読劇がついに実写映画になった。 原作・脚本は、2024年3月末で放送作家と脚本業を引退した鈴木おさむ。昨今は『奪い愛、冬…