2022年1月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 墓参りに行ってきた。都立八柱霊園というところだが、都立と言っても、千葉県の松戸市にある。快晴の少し寒い日曜日、東京南西部の家から車で首都高を通り、かつて暮らした千葉県に入り、空が広いな、と思ったらもう着いていた。途中、少し渋滞があり、1時間半ほどのドライブだ。 霊園に着く前、花屋や墓石屋が並ぶ通りは、「まつ家」といったひらがな混じりの屋号や古ぼけた看板や緑やねずみ色を基調とした地味な色合いが、落ち葉並木とうまく重なり、昭和の、しかもかなり深い昭和、40年代あたりを思わせた。「いいな」と思って車を進め、霊園にぶち当たったが、駐車場らしきものが見当…