この指導の数日後、所属する団体の副理事長が急逝してしまった。この理事は長い間お世話になった人で、真田さんを支持してくれる人でもあった。そして亡くなった日の同日、真田さんは役員会で後任の副理事長に選ばれたのだった。 ただでさえ崖っぷちの状況だったのに、さらなる重責を担うことになったが、真田さんの中には「さらに突き進もう」という意欲がわいてきた。火事場の馬鹿力のような、潜在していた力が湧き上がってくるような感覚だった。 真田さんは、最初に長い間翻弄されてきたAという部下(職員)の問題に着手した。Aは周囲の職員と絶えずトラブルを起こしていたが、決着させることができないまま何年も過ぎてしまっていたのだ…