承前 追憶編・最初から しおかぜ町から~追憶編1 - しおかぜ町から 追憶編・前回 しおかぜ町から~追憶編4 - しおかぜ町から 「キーボードが必要やと思うねん」祇園祭の前、暑い日だった。 島田はまじめな顔をしている。 「音に厚みが欲しいねん」私は必要ないと思った。四人で実績を作ってきたのだ。 サークル内では一目置かれる存在だ。ライブでの評価も高い。 城間が反応した。「そうですね」「いいんじゃないですか」頷く具志堅。テニスウエアではなく、ハイビスカス柄のシャツを着ていた。私は黙っていた。 どっちでもいいや。自分を納得させた。 翌日、新メンバーが現れた。「どや、かわいいやろ」 島田の第一声だった…