1969年11月、北国出版社から刊行された安宅啓子(1944~)の詩集。著者は中華民国南京生まれ、刊行時の住所は金沢市兼六元町。 私は自分の詩にたいして好き勝手をしている。私は毎日どこへでも出かけるし、まただれとでも会う。タイム・マシーンを駆って、中世の都であろうと、三途の川向うの聖堂であろうと、未来へでも過去へでも。それで、ピテカントロプスとも紫式部とも武装警官ともおなじみなのだ。人が私の日々に起きている邂逅や出来事を信じようと信じまいとかまうことではない。今日の時局にたいする、きわめてシリアスな発言や芸術的作品が怒涛となって逆巻いているときに、私は、私が人肉蒐集家の海や黄道を散歩しているこ…