円紫さんと私

北村 薫さんの「円紫さんと私」シリーズを知ってから、大事に大事に、楽しんで読んでいます。 読む速度は、牛が歩くごと。 理由は、寄り道です 文庫本はね、4冊買ってしまったんで、いつでも何度でも読める。 でもまだ私は、最初の巻を「赤頭巾」を読み終えたところ。 ヘンリージェイムスの『ロデリック・ハドソン』が出てきたので、私も借りてきた。 「私」曰く 分からないのは例えばヘンリー・ジェイムズ。他では手に入らないからということで買った古い文学全集版で『ロデリック・ハドソン』をやはりこの冬読んだ。 正直これにはまいった。 三段組の細かい活字を殆ど意地になって読み通し、いい筈の目がしばらく仮性近視気味になっ…

阿津川辰海『午後のチャイムが鳴るまでは』感想 午後のチャイムが鳴るまでは 作者:阿津川 辰海 実業之日本社 Amazon 青春ミステリ短篇連作。 連作としての繋がり、それにより浮き上がってくる人物像や空気、企み、構図も大いにある上で。 何よりまず第3話「賭博師は恋に舞う」が話としても作中の「消しゴムポーカー」のアイディアやそのゲーム性、駆け引きや描写も群を抜いてる。傑作。 また、この作品は連作全体としておそらくある種の（青春）ミステリへの次の二要素に対するカウンターという趣もあるのかなと思えて。 ①思春期/青春をあるべき大人になるための準備期間、過剰な万能感や無力感に溺れ苦しみ挫折していく（そ…

録り貯めしていたアニメ「「小市民」シリーズ」を一気観しました。以下、多少のネタバレを含む感想となります。 まず予め述べておくと、今作「小市民」シリーズ…正確に言うと「春期限定いちごタルト事件」は以前(かなり前)にスクエニから刊行されていた漫画で読んだことがあったのですよね。ちょっと調べたところ15年以上前(2008年)単行本が出ていたらしく当時「春期限定いちごタルト事件」のコミックを買ったのは覚えていたのですよね。当時はもう連載されていた雑誌「Gファンタジー」は購読していなかったのでなぜ買ったのか定かではないのですが…、おそらく「米澤穂信」の名前(「米澤穂信」の作品面白いみたいな噂を当時聞いて…

個人ブログ、はじめてみました。 とある作家さんのエッセイにて、昔は個人ブログに作品を掲載していたと書いていたのを見てから「個人ブログ」というものに憧れを抱き、紆余曲折あってこのブログの立ち上げに至りました。 とはいえ、私には文才が全くなく、情報を伝える手段であるはずのブログを目的に据えてしまった今、何を書くべきか。 とりあえず、自己紹介からしていこうかと思います。 名前は春樹、学生です。趣味、好きなものはたくさん。「浅く広く」やってます。読書、音楽鑑賞、映画・ドラマ鑑賞などのインドア系の趣味が主。 本は、ミステリを特に読みます。ジャンル関係なく濫読する方だと思いますが、一貫して好きなのはミステ…

ドードー鳥と孤独鳥 作者:川端裕人 国書刊行会 Amazon 川端裕人『ドードー鳥と孤独鳥』はなんというか、生物学SFの一つの理想形のような作品だと思えた。 語り手・視点人物となる望月環とその親友・佐川景那。それぞれを絶滅した動物、ドードー鳥と孤独鳥に自らを重ね、そういう人間であると互いに理解し合った二人の人生と、 ■ドードー鳥と孤独鳥を巡る科学や歴史や文学等様々なものが絡むあれこれ ■「絶滅」という現象を人間がどう捉え受け止めるべきかという課題 ■自然や環境を保護するとは「何を保護する」もので「何に意義があり、何に意義はないのか（むしろ、為されるべきではないとすら言えるのか）」という問題 ■…

＜ツイッターへの投稿の再掲です＞北村薫「空飛ぶ馬」#読了空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M き 3-1)作者:北村薫東京創元社Amazon日常の謎ミステリの嚆矢であり、円紫さんと私サーガの幕開け。有名な「砂糖合戦」も収録されていますが、なんといっても表題作がいいです。悪意のまったくないところにミステリを生ぜしめる。妖術のようです。