連城三紀彦『夜よ鼠たちのために』 今日は読書の話題で、ミステリー編。最近読んだ2冊について。 1冊目は連城三紀彦の『夜よ鼠たちのために』。連城三紀彦はまだ読んだことがなかったので、一度読んでみようと思っていた。代表作は、短編集の『戻り川心中』『恋文』といったところだが、『夜よ鼠たちのために』も、名作ぞろいというネットの評判だったので読んでみた。9編が収録されているが、雑誌の初出は1981年から83年なので、まさに昭和の雰囲気漂う作品集だ。 読んでみた印象は、とにかく濃厚な味わいの作品が揃っている。情感たっぷりの文体もそうだが、登場人物の関係が、どの作品も男女の愛憎が複雑に絡まり合ったもので、さ…