今まで雨雲につゝまれて 五米先も見えなかつたという裾野に私が立つと まるで奇蹟のように にわかに雲が消えはじめ 冨士の全貌がくつきりと五月の空に浮び上がつた やがて多くの年月を世界平和運動をくりひろげることになるこの裾野辺で こうして真近に冨士の偉容をみていると 私の心に日本の古代が生々(いきいき)と画き出されてくる 日本の歴史の美しさ尊とさが 冨士の姿を通してひゞきわたつてくる 大和日本の真の姿を世界中に知らせねばならぬ天命を 冨士の神々から伝えられていた二十数年前のことが想い出される 山々は神霊の住むところ まして神冨士は大自然そのままのみ姿 真夏の今朝冨士に登つた娘から 役の行者を中心に…