何気なく手に取った本。古本屋の100円のコーナーで、小川、の欄を確認するのはもう私のルーティンだったから、今回も見に行った。タイトルと、背表紙の言葉が素敵だったから買った。 本を開いたらはしの方はもう変色していて、茶色かった。閉じている部分の下は私が大学へ行くまでにトートバッグにそのまま入れていたからか、雨で少しうねっていた。私は新品のまっさらな小説より、誰かが読んで、そのまま本棚に入れて放置して、なにかの機会に手放されたみたいな、年季の入ったページのほうが好きだ。 ページを捲りながら寒気が止まらなかった。それは教室の扉から滑り込んでくる空気が冷たいからなのか、それとも目で追っている文章が壊れ…