作家。1962年、岡山生まれ。早稲田大学卒。 1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞受賞。1991年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。2004年「博士の愛した数式」で読売文学賞・本屋大賞受賞。同年「ブラフマンの埋葬」で泉鏡花文学賞(第32回)受賞。2006年「ミーナの行進」で谷崎潤一郎賞受賞。 主な作品に「シュガータイム」「密やかな結晶」など。静謐で透明感のある文体が特徴。
小川洋子さんの「博士の本棚」を読みました。 この著者 小川洋子さんは調べたところ、アンネ・フランクに影響を受けた人だそうです。 この「博士の本棚」にもアンネに纏わる内容もありました。 奇遇にも私もアンネ・フランクが好きなので、ちょっとした共通点に嬉しさを感じます。 私はアンネが日記を書き始めた年齢以前から「アンネの日記」を愛読をしており、そしていつの間にか彼女の止まってしまった年齢を遥かに超えてしまいました。 自分の成長の過程で「アンネの日記」という本に出会えたので、私を見守ってくれた一作品のように感じて思い入れの強い作品です。 また、思春期のアンネの感受性や想像力は強くて心の描写はとても鮮明…
1、作品の概要 2022年2月に公開された日本・台湾合作の映画。 監督・脚本は奥原浩志。 主演は永瀬正敏、陸夏(ルシア)。 原作は小川洋子の『ホテルアイリス』 少女と初老の男との倒錯した愛を描いた。 2、あらすじ 海沿いのリゾートホテル『ホテルアイリス』を経営する母親と一緒に働いているマリ。 母親の歪んだ愛情で束縛され支配されていた彼女は、娼婦とトラブルを起こした初老の男性客・翻訳家に興味を惹かれるようになる。 翻訳家のあとをつけて懇意になったマリは、やがて彼と倒錯したやり方で愛し合い、彼の支配と暴力に無上の快楽を覚えるようになる。 死と生、あなたとわたし、現実と非現実。 鏡の中に映し出された…
長かったゴールデンウィーク明けの今週も、もう週末です。皆さまお疲れさまです。家にいる私には、いつもの日常が戻ってきています。淡々とした静かな日々です。 日曜日のブログで、夫のみるテレビの音をうるさく感じたので、自分の部屋が必要だと書きました。和室への移動は、「そのうち、いつかは未定だけど近いうちに・・・」とぼんやり考えていました。ですが私は、ブログでそう書いた翌日に、パソコンと机を移動させました。 月曜日は朝から忙しく、こんな私でも、時間のある限り困っている人の対応をしているので(娘)、家に帰りソファでくつろいだのは夕刻でした。眠いな、横になりたいなと思いながらもブログをあげ、夕飯の準備をしよ…
先日、小川洋子の「博士の愛した数式」を読み終えました。 この作品を読み切った時に感動してつい涙が溢れてしまいました。 文字の芸術だと思いました。 残念ながら「博士の愛した数式」は中古買取してもらって、またその本みたいな素敵な新しい本達に出会うお金の足しにしたいです。 今日は本探し出向きます。 作者買いするのもいいかなと、阿部工房か江國香織、小川洋子あたりを狙いたいです。 江國香織は中学生の頃に読んだ「すいかの匂い」が好きでした。 酢いも甘いも噛み分けた中学時代を思い出すようで懐かしさを感じます。 文芸の中では、男性の作家さんはアグレッシブな作品が多いので、落ち着いた作品が多い傾向の女性の作家さ…
初版 2014年2月 中公文庫 あらすじ 遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた―慎み深い拍手で始まる朗読会。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして…。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。(アマゾン商品紹介より) ・・・ネタバレあり・・・ 始めは何か観念的な世界観の話かと思ったけど リアルに南米のテロリストに拉致されて人質となった日本人8人の話です。 ハリウッド映画ならヒーローによって最後は救出されてハッピーエンドとなるはずが、 小川さんはそんなに甘くないんです…
5月に入り、自分の皮膚が紫外線で痒くなったりして夏の気配を感じています。 紫外線を避けて家の中で過ごすこともちょこちょこ。 お肌は調子悪いですが季節を感じられて気分が良いです。 先月あたりに読書にまつわる出来事がありました。 それがこちら。 ochakochako.hatenablog.com こんな読書のきっかけができて、それが自分の中で流行っています。 本は前から好きな方ですが飽き性です。 マイペースに読書習慣が続いています。 最近読んだのはダン・ヒースの「上流思考」の最初の数十ページです。 こちらは借り物だったので最後まで読みませんでしたが、「上流思考」の上流というのは川の上流を指してい…
今日は一日中雨でした。私は毎朝6時に起きますが、リビングのエアコンは今日もつけました。クサガメのココタも寒かろうと案じてのことです。いいえ、私が寒いからですよ。九州ですが、朝はまだ寒いのです。 そして本日はくしゃみが出る回数がいつもより多い。目もかゆい。雨の日はそうだと聞いたことがありますが、理由を知りたくてざっくり検索をかけてみました。 ●雨が降ると気圧が下がり、体内のヒスタミンが増えアレルギー反応が強くなる。●前日吸い込んだ花粉で、症状が遅れてやってきている。 このようなことが書かれていました。そうかも知れません。 ♢ ♢ ♢ 午前中、図書館に行き新たに本を借りてきました。元々エッセイを読…
1、作品の概要 1996年に刊行された小川洋子の長編小説。 少女と初老の男との間のエロスと支配について描かれた。 2022年2月に監督・奥原浩志、主演・永瀬正敏で映画化された。 2、あらすじ 母親が経営する古ぼけたホテル・アイリスで働く美しい17歳の少女マリは、ホテルでトラブルを起こした初老の男の声に強い興味を惹かれていた。 やがてマリは母親の目を盗んでその初老の男・翻訳家と逢瀬を重ねて愛し合うようになる。 異常に几帳面で紳士的だが、怒り出すと別人のように尊大になる翻訳家は、支配的な方法で若いマリの身体を執拗に嬲り続け、彼女も暗い悦びを覚えるようになる。 亡くなった翻訳家の妻の存在はどこか後暗…
・・・抱きしめる。 小川洋子『いつも彼らはどこかに』(新潮社 2016年)の話をさせて下さい。 【あらすじ】 たっぷりとたてがみをたたえ、じっとディープインパクトに寄り添う帯同馬のように。 深い森の中、小さな派手大木と格闘するビーバーのように。 絶滅させられた今も無亜のシンボルである兎のように。 滑らかな背中を、いつまでも撫でさせてくれるブロンズ製の犬のように。 ーーー動物も、そして人も、自分の役割を全うし生きている。 気が付けば傍に在る彼らの温もりに満ちた、8つの物語。 裏表紙より 【読むべき人】 ・大人向けの童話が読みたい人(現代日本が舞台の「帯同馬」を除く) ・寂しい人 ・愛することを忘…
初版 2011年7月 文春文庫 少年がデパートの屋上に取り残された象に心を寄せるところから始まります。 その象インディラは、子象の時に屋上遊園地に見世物として運び込まれ、大きくなったら屋上から降ろせなくなって、そのまま屋上で孤独に生涯を閉じました。 インディラの錆びた足輪の記念碑と、おそらく長年そこにいた事でできた窪みの水溜りに 心を寄せて、少年は想像のなかでインディラを友達にしています。 また、自宅と隣の家の細すぎる隙間に、挟まったまま誰にも気づかれず死んでいった・・・かもしれない少女を想像して、ミイラとあだ名をつけて心の友にしてたり・・。 そんな少年が主人公です。 少年はおそらく今でいう発…
Panasonic Melodious Library【パナソニック メロディアス ライブラリー】- TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 - 今週の本はシュリーマンの―古代への情熱―でした。1892年の本ということで、明治25年の初版。日本語にも訳されています。 子供時代からギリシャの古代遺跡トロイヤを発見するに至るまでの紆余曲折が書かれた自伝。事業に成功してから夢だった遺跡発掘に乗り出す様はヨーロッパの人が好きそうなサクセスストーリーです。 シュリーマンの発掘は趣味で、報酬よりも名誉のために挑んだ発掘は考古学というよりもロマンを追及したものだったそうです。
田植えが始まりました。 上も下も空になる季節。ウユニ塩湖みたいじゃない?(比べる対象がおかしい) この頃のJOGは、毎回10キロから12キロくらいの距離で抑えていたが、今日はちょっと調子が良い気がするので14キロ走ることにした。 田んぼに水を送るため、目久尻川は一部せき止められて水量があがっていた。 水が多くて魚がとれないからなのか、カワセミの姿がなくなり、カワセミ撮りのカメラマンもいない。カワセミ、どこに行ったのだろう。 と思ったら、もっと上流には、カワセミもカワセミ撮りもいました。お引越ししたのね。 7キロ地点近くの公園で、赤いブラシが咲いていた。 ホントに瓶を洗うブラシみたい。 ヤマボウ…
カレーとルートは似ている。ここでいうカレーとは、多種のスパイスを織り交ぜたインド料理のことだ。そしてルートとは、平方根√のことだ。どちらもその寛大さによって、あらゆる他者を内に受け容れる存在である。カレーは食材を、ルートは数字を。 「君はルートだよ。どんな数字でも嫌がらずに自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルートだ」 小川洋子『博士の愛した数式』p. 45 ルートの話は博士に任せるとして、ここではそんな器のでかい料理であるカレーについて話をしたい。 食材と非食材の境界 カレーライスに希望つめて 1.生で食える 2.レンチンで食える 3.焼けば食える 4.カレーでしか食えない 5.食わず…
昨日、母校の校友会から「早稲田学報」6月号が届きました。 今回の特集は「学生街の喫茶店」でしたが、そのなかの「喫茶店と私」で、小説家の小川洋子さんが、「ルノワールの読書会」と題したエッセイを寄稿されていました。そのエッセイには次のようなことが書かれていました。 『学生時代、一週間か二週間に一回、高田馬場のルノアールで読書会をやっていた。 ルノアールには、一号店、二号店、というふうにいくつか支店があったはずだが、 今となっては読書会の会場が何号店だったか思い出せない。 いずれにしても早稲田通りに面したビルの地下にある、広々としているが、薄暗いお店だった気がする。‥』 『‥‥たった一杯の飲み物で、…
初めまして、新3年の守友です。 昨年から見学させていただいていた現代文学研究会に所属することができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。よろしくお願いいたします。 以下、研究会報告と次回の予告です。 2022年5月17日研究会報告 本日は4年生の脇田さんが卒業論文題目発表を行いました。小川洋子作品について『ことり』と『ブラフマンの埋葬』の両作品を中心に、作中に登場する動物に焦点を当てて分析をされており、発表後には質疑応答、意見交換の時間が設けられました。 今回は先輩方の鋭い視点からの指摘に圧倒されるばかりで、私含む3年生はほとんど発言ができませんでした。より活発な意見交換を行うためにも、自分の意見を持…
1 遠慮深いうたた寝(小川洋子) バラエティに富んだ話題で最後まで全部面白く読めました。 「時折、こんなご褒美のような1日がある」素敵な言葉です。 また、2011(年)の素数の話「2011は連続する11個の素数の和 であり、連続する3個の素数の和でもある」が印象に残っています。 アール・ブリュット(生の芸術)というのも初めて知りました。 遠慮深いうたた寝 作者:小川洋子 河出書房新社 Amazon 2 マザー・マーダー(矢樹純) 初読みの作家さん。想像してたのとは少し違ってました。一つ一つの話が短くて物足りない気がしましたが、ドンデン返しもあり後半一気読みでした。 マザー・マーダー 作者:矢樹…
ユキドケです。 今回は年間大賞から日本文化の歴史について見ていきます。 ①はこちら 1977年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 1978年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 1979年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 1980年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 1981年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 1982年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 講談社漫画賞(一般部門) 1983年 講談社漫画賞(少年部門) 講談社漫画賞(少女部門) 講談社漫画賞(一般部門) 1984年 講談…
こんにちは。冨樫純です。 本を紹介します。 ①この本を選んだ理由 小説はあまり好きではなかったぼくですが、動画などを見て、少しずつ興味がわきました。 分量が少なく、有名なものなので読んでみようと思いました。 ②こんな本です 『コンビニ人間 』 村田 沙耶香 文春文庫 「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。 古倉恵子、コンビニバイト歴18年。 彼氏なしの36歳。 日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。 ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。 現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。 ③こんな言葉が印象に残り…
Panasonic Melodious Library【パナソニック メロディアス ライブラリー】- TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 - 今週の本は瀬戸内晴美―蘭を焼く―でした。瀬戸内寂聴さんの初期の代表作。男女のこじれた恋愛の短編で瀬戸内寂聴らしいテーマですね。 灰皿にブランデーをぶちまけたり、蘭の花をムシャムシャと食べたり。奇妙な描写が続きますが、それはすべてこの男女がこじれた恋愛をしているという表れであったんですね。不倫してるのに奥さんの話をしてしまったり、帰る時間になってもなかなか帰らなかったり。こうなると男ってみっともないですね。逆に女の方がクールです。 瀬戸内寂聴さんは9…
2021年(令和3年)の埼玉県川口市立高附属中学校の適性検査の問題、解答、出題方針、解説をまとめました。 川口市立高附属中については、適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、適性検査Ⅲが独自問題として出題されます。 2021年に中高一貫校として始まったばかりの学校なので、問題の傾向が読みにくく、変化する可能性があります。 来年度、受検を考えている生徒さんは腕試しに解いておくことをおススメします。 目次 川口市立高附属中 2021年(令和3年)適性検査 問題 川口市立高附属中 2021年(令和3年) 適性検査 解説 適性検査Ⅰ 45分 適性検査Ⅱ 45分 適性検査Ⅲ 60分 川口市立高附属中 2021年(令和3…
●概要 ●ミュージシャン等17名 ●漫画家58名 ●ゲームクリエイター14名 ●小説家 等66名 ●哲学者1名 ●ファッションデザイナー3名 ●写真家2名 ●映画サイト運営者 ●概要 現在156名分のリストを掲載。 このコーナーは「映画人のオールタイムベスト(個別)」に掲載した以外の漫画家、アニメーター、ゲーム開発、シンガー、作曲家、小説家、その他クリエイターが影響を受けた映画のリストをまとめた掲載先のリンク集です。 ・●●●●●・ ・●●●●・ ・●●●●・ ・●●●●・ ※数字をいじるとリンクが機能しなくなるので注意 ●シンガー、ミュージシャン等9名 ・マイケル・ジャクソン・ ・マドン…
Panasonic Melodious Library【パナソニック メロディアス ライブラリー】- TOKYO FM - 小川洋子,藤丸由華 - 今週の本は池波正太郎の―鬼平犯科帳 迷路―でした。大好きな池波正太郎先生の作品ということで胸が熱いです。テレビドラマEDのジプシーキングスも好きだったな~。 今作では平蔵の過去の因縁から、平蔵の家族や火付け盗賊改方の関係者が命を狙われるというかなり怖い内容で、ほとんどテロのような手口に時代劇というよりも紛争を描いた小説のようなスリルがあります。また、複雑な人間関係からなぜこの悲劇が起こったのか、読み進めていくと分かっていくこの感じ。ほとんど推理小説…
今回は、村上春樹作品の中でも特に人気のある短編『午後の最後の芝生』をご紹介します。私にはあまり印象がなかった作品なのですが、調べてみると、とにかく大人気でした。こちらの短編は業界人にも人気のある作品のようです。 The Last Lawn of the Afternoon イラストレーターの沢野ひとしさん、思想家の内田樹さん(村上春樹解説本を多数執筆)、小説家の小川洋子さん、映画監督の市川準さん(映画『トニー滝谷』の監督)、イラストレーターの安西水丸、元『文學界』編集長の湯川豊さん、村上陽子夫人 など、wikiより ほとんど著者の身内じゃないか?とも思いましたが、アーティスティックな創作活動を…