大好きな小川洋子先生の本を、改めて読み返してみようと思い、まずはデビュー作である『完璧な病室』から再読しました。 完璧な病室 (中公文庫) 作者:小川洋子 中央公論新社 Amazon 収録されているのは、「完璧な病室」「揚羽蝶が壊れる時」「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」の4編。それぞれ全く異なるテーマを持ちながらも、小川先生ならではの静謐で美しい文章に貫かれていて、心がじんわりと癒されるような読書体験でした。 一つひとつの言葉がとても丁寧に紡がれており、「一語も読み落としたくない」と思わせてくれるような文章ばかり。読み進めながら、「あ、この表現、素敵」と思うたびに付箋を貼っていたら、気…