◆「31年ぶり、0から翻訳」と銘打たれた『聖書』(聖書協会共同訳)が出版されたのは2年前(2018年11月)でした。その翻訳の一部については、拙文(「世界史の扉をあけると」)ですでに述べていますが、今回は、旧訳(新共同訳)にあったアラム語が新訳では削除されてしまったことを取り上げます。 ◆問題の部分は、『新約聖書』の「コリントの信徒への手紙一」(パウロがギリシアのコリントスの教会宛に書いた手紙)の末尾です。旧訳と新訳を比較してみます。 <旧訳> 「主を愛さない者は、神から見捨てられるがいい。マラナ・タ(主よ、来てください)。主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。」 <新訳> 「主を愛さ…