航空機の翼の平面形の分類で、翼を前に傾けて取り付けたもの。翼つけ根に対し翼端部が前方にある。
前進翼は以下のような長所がある。
一方、前進翼の短所は以下のとおりである。
前進翼は機体の安定性を損なうが、これは逆に機敏な機動につながるため、戦闘機の設計で着目され、アメリカのX-29やロシアのS-37ベルクートなどが試作された。
この他、ドイツでは大戦中に試作されたユンカースJu287が前進翼を採用した。また、アメリカのCornelius Aircraft社は前進翼かつ無尾翼機のXFG-1グライダーや軽飛行機を試作した。ソ連ではベリヤーエフDB-LK爆撃機やツィービンLL-3などの前進翼機が試作された。
ビジネスジェット機MBB HFB320ハンザは、数少ない実用化された前進翼機の一つである。同機では、翼桁の位置を後方にずらし客室のスペースを確保するために前進翼を採用した。
グライダーにも前進翼を採用したものがある。
ホンダが開発中のビジネスジェット機、MH02も前進翼を採用している。
中島飛行機の一連の戦闘機は主翼前縁が機軸に直行しており、翼弦の25%の位置は緩い前進角がついている。これは翼端失速の防止を狙ったもので、前進翼の長所を取り入れた直線翼である。