結びつる 心も深き 元結ひに 濃き紫の色し褪せず 〜深く心をこめた元結いです、 濃い紫色がいつも濃い紫色が褪せなければよいのですが。 結婚を約束した心を深く結びこめた、この元結いです。 源氏の君のお心変わりがなく娘と長く添い遂げてくれれば、 どんなにうれしいことでしょうか。 【第1帖 桐壺】 今日の侍所《さむらいどころ》になっている座敷で開かれた酒宴に、 親王方の次の席へ源氏は着いた。 娘の件を大臣がほのめかしても、 きわめて若い源氏は何とも返辞をすることができないのであった。 帝のお居間のほうから仰せによって 内侍《ないし》が大臣を呼びに来たので、 大臣はすぐに御前へ行った。 加冠役としての…