【99話】 薄暮が訪れる頃、野球場は静寂に包まれていた。 唯一、バッティングセンターの打席からは、熱い闘志が火花を散らすような音が響き渡る。 俺は、誰もが諦めた時間帯に、ただ一人、夢を追い続ける少年だった。 「レギュラーどころか、チャンスも回ってこない可能性がある」 この言葉が俺の心に突き刺さった日から、俺の日常は一変した。 週5回、バッティングセンターに通い続けた。 特に、110km/hのストレートと、100km/hのカーブには苦戦を強いられた。 最初は、クリーンヒットなど夢のまた夢だったが、2週間の継続により、十中八九ヒットを打てるようになったのだ。 そして、その成果は部活の練習時にも現れ…