何かに熱中していて、ふと我に返る。「あれ、なぜ自分は今こんなことをやっているのだろう?」と自問自答が湧いてくる。そんなことが無いだろうか? 好きなことに取り組んでいるはずでもその思いは時々不意に顔を出す。取り組んでいることが肉体的に厳しければ、その疑問の度合いは深くなる。 何事にも没頭できない性質なのだろうか…。 秋の風を切り静かな田園の中を自転車で走る。傾きかけた西日に金の稲穂は風に揺れ、小さなさざめきを作る。しかしその音は自分が走る風の音に交じり判然としない。秋の風の音を聴こうとペダルを止めて、ふと西の空を見る。すると曇りがちの空の隙間から陽の光が線となり地上を照らしている。一本ではない。…