唯一と言っていい趣味が登山だ。山登りをしない人には理解できない趣味だ。趣味とはそういうものだろうけど。 なぜ、そんな苦しい思いをしてまで登りたいのか、人それぞれだろうと思うけれど、自分でもその理由はわからない。「そこに山があるから」と言ったマロリーの名言が有名だが、それは「そんなことは自分でもわからない」という答えではないのか。 私のこれまでの登山は単独行といって、ひとりで登るものだった。ひとりで計画し、準備し、実行する。すべての責任は自分。そのスタイルが登山の価値だった。なるべく人のいないところが好きだ。登山道が、木々が雪に埋もれる季節が最も好きだ。ここで何かあっても誰も助けてくれない、ヒリ…