先週、北アルプスで何件もの遭難事故があった。この残雪期に穂高や爺をやるのだから、それなりの経験を積んだ登山者だろう。年齢も40代50代だ。 この時期の雪はザラメ状でアイゼンが全くといっていいほど効かない。若い頃、ゴールデンウィークに一人で涸沢から北穂目指してザラメ雪の急斜面を登っていた。登挙中下を見ると雪の斜面に大きな岩の塊が黒々と見えた。ここで滑ったらあれに激突してバラバラだな、と登り始めてすぐ、足が滑ってうつぶせのまま斜面を滑り落ち始めた。セオリー通り、頭が下を向かないようにアイゼンのついた足は上に挙げ、ピッケルのブレードに体重をかけて制動しようとしたが全く効かない。ザラメ雪はガラスのビー…