原 雅明 ベス・ギボンズの初となるソロ・アルバム『Lives Outgrown』がついにリリースとなった。10年ほど前からうわさとなっていた作品だ。多くの時間を費やしたというよりも、時間の経過を必要としていた、と言うべきなのだろう。寡作だったポーティスヘッドを思えば、このリリースもそれほど驚くことではない。ギボンズが信頼する少人数のクルーと制作に取り組んだことは、音源から十分に伝わる。そこにはポーティスヘッドのアブストラクトなビートや音響はない。さまざまなアコースティック楽器を中心として、オーガニックで柔らかな響きに包まれている。オーケストレイトというロンドンのクラシック音楽の演奏家集団もフィ…