司法権の意義 憲法の明文上の限界 国際法上の限界 性質上の限界 統治行為ないし政治問題 司法権の意義 司法権とは,形式的には「国家機関のうち裁判所に属する国家作用」を指すが(憲法七六条一項),その実質的意義は「具体的な争訟事件について法を適用し宣言することによってこれを解決する国家作用」 を指す(裁判所法三条一項参照)。したがって,いかに重要な法律問題が裁判所に提起されたとしても,それが事件・争訟性の要件を満たさず,非現実的な仮定的または抽象的段階にとどまる限り,司法権行使の対象となるものではない(警察予備隊違憲訴訟の最判昭二七・一〇・八民集六・九・七八三)。明治憲法下においては,司法権は右の…