今年が呉昌碩(ごしょうせき)の生誕180年ということで、昨年末から今年4月にかけて朝倉彫塑館、書道博物館、東京国立博物館東洋館、兵庫県立美術館で「生誕180年記念呉昌碩の世界展」が開催された。このうち兵庫県立美術館を観覧した。書・画・篆刻の特に篆刻を故蔵書印さんが好きそうだなと思いながら観たものである。 さて、王家誠著・村上幸造訳『呉昌碩伝』(二玄社、平成2年10月)で日本における呉の受容を見てみよう。338・339頁に次のようにある。 王一亭や河井筌廬(仙郎)や長尾雨山(甲)などの推薦と紹介によって、日本人は呉昌碩の篆刻を懸命になって求めたばかりか、文求堂、至敬堂、長崎双樹園、大阪高島屋など…