🥀【源氏物語257 第十帖 賢木69】大臣は、のんびりと横になっている男を見た。大臣に見られて初めて顔を夜着の中に隠して紛らわすようにした。大臣は驚愕した。 〜尚侍が失心したようになっているのであるから、 大臣ほどの貴人であれば、 娘が恥に堪えぬ気がするであろうという 上品な遠慮がなければならないのであるが、 そんな思いやりもなく、 気短な、落ち着きのない大臣は、 自身で紙を手で拾った時に几帳の隙《すき》から、 なよなよとした姿で、 罪を犯している者らしく隠れようともせず、 のんびりと横になっている男も見た。 大臣に見られてはじめて顔を 夜着の中に隠して紛らわすようにした。 大臣は驚愕《きょう…