子は温(なご)やかにして厲(はげ)し。威ありて猛からず。恭(つつし)むあるも安し。(「述而第七」37) (解説) 「孔子は、なごやかではあるが厳格さがある。威厳はあるものの猛々しくはない。慎み深くはあるが、ゆったりしておられた」。(論語 加地伸行) 桑原の解説。 「論語」を読んでゆけば、おのずとさとらされるように、孔子は学究でもなく、政治家でもなく、芸術家でもない。まとまった人格でありながら、一本調子では決してない。そこに孔子の強さそして立派さがある。ここにも三組の矛盾した性質が「而」という字で対立矛盾のまま結びつけられている。 おだやかだけれどもきびしい。威厳があるが猛々しくはない。礼儀正し…